6.古文だよ~ん(2)

古文(2)

 (1)、読んでくれてありがとう。皆さんが一番欲するものは・・・? 下の文章の「全文口語訳」、すなわち、現代の日本語に書き直したものだと思う。

 う~ん、びみょーだな。確かに、教科書には全文口語訳が載っているけど、高校の古文の教科書にはそんなもの付いてないし。
 それに、そんなことしたら、せっかくの古文の美しさが死んでしまう!! あくまで、原文のまま読み味わわなくては・・・。

 でも、「そんなこと言ったって、全然意味がわからない!!」っ逆ギレされそう。しかたがない。受験生には、オリジナルのまま読み味わう時間的余裕はないだろう。本文について解説します。ただし、必要最小限な古文単語の意味だけね。


 雪のいと高うはあらで、うすらかに降りたるなどは、いとこそをかしけれ。

 また、雪のいと高う降り積もりたる夕ぐれより、端近う、同じ心なる人、二、三人ばかり、火桶(ひ

をけ)を中にすゑて物語などするほどに、暗うなりぬれど、こなたには火もともさぬに、おほかたの雪

の光、いと白う見えたるに、火ばしして灰をかきすさみて、あはれなるもをかしきも、言ひあはせたる

こそをかしけれ。

(注) 端近う=縁側の近くで  火ばし=炭火をはさむはし  かきすさみて=かき回しながら


解説
 いと ・・・ 「非常に」(いとやすい御用だ、って言い方で、今でも生きている。いと=非常に、やすい=たやすい。)

 あらで ・・・ 「~ではなくて」(「高うはあらで」で「高くはなくて」。雪が非常に高いってわけではなくて。)

 をかし ・・・ 「趣(おもむき)がある」(趣があるってどーゆー意味かって? おもしろみや味わいがあるってことサ。このHPみたいだね。← もっとマシな例はないのか?)

 いとこそをかしけれ ・・・ ふつうは、「いとをかし」。それを、「こそ」~「けれ」と対応させることで、余韻を残し、味わいのある(をかし)表現になるんだ。これを「係り結び」って言うんだけど、中学では深入りしない。

 同じ心なる人 ・・・ 同じ心である人って、どういう人か、考えてみよう。同じ気持ち、同じ意識、同じ考え・・・の人。そう、気の合う人とか仲間。

 すゑて ・・・ 据えて → 「置いて」

 物語 ・・・ もちろん、ふつうに「物語」、文学作品という意味もあるが、元は「物を語る」だ。「話す」。

 ほどに ・・・ これは、何となく分かるんじゃないかな。「噛むほどに味が出る」と同じ。「うちに」

 なりぬれど ・・・ 「なったけれど」

 こなた ・・・ かなたの反対。かなたはあちら。こなたは「こちら」

 火もともさぬに ・・・ 火もともさないのに。ここで言う「火」は「明かり」のこと。夕ぐれでしょ。当時電灯があるわけない。

 おほかた ・・・ 大方、片付いたぜ、のように、「だいたい」という意味だが、ここでは「全体」という感じ。

 (火ばし)して ・・・ 火ばし「で」

 あはれ ・・・ 「しみじみとした情感」(しみじみとした情感・・・。現代の日本人が失いつつあるものだ。
例えば、日本庭園とかを見ると、こういう心境になるんだけどね・・・。)

 言ひあわせたる ・・・ 言い合わせる → 言い合う


 ザーッとまあ、こんな感じかな。
 特に、「いと」、「をかし」、「あはれ(なり)」は、ひんぱんに出てくるから、要注意だよ。

 古文はとにかく、何度も音読。意味なんてよく分からなくてもいい。そのあと、さらに文の意味を深く理解したければ、上の解説にあるような古文単語を、自分で調べてみよう。
 古語辞典なんて要らないよ。ふつうの国語辞典で調べれば載ってるから。



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